内視鏡検査

   内視鏡検査

 啓蟄を過ぎた
 暖かなある春の日に
 かかりつけの病院で
 上部消化管の内視鏡検査を受けた
 内視鏡を鼻から挿入する予定だったが
 花粉症のせいもあって鼻腔が狭く
 急きょ口から入れることになった
 前回の診察時、医師から説明があって
 そういう事態は想定の範囲内だったが
 いざそうなってみると
 やはり多少動揺した
 
 不安な気持ちが兆す中、検査が始まった
 案の定、内視鏡の管が喉を通ると
 何度か「おえっ」と吐きそうになった
 吐きそうになっても
 朝から絶食しているから
 口からはよだれだけしか出てこない
 それはそれでちょっと不気味で苦しい

 「胃の中はきれいですが
 食道はかなり荒れてますね」と
 内視鏡を操作する医師が
 モニター画面を見ながら言った
 十分ほどで検査は終わった
 
 検査の間中、看護師の若い女性が
 検査用のベッドに横向きに寝ている
 私の肩と背中を
 「力を抜いてください」と
 静かに言葉をかけながら
 励ますように
 優しく撫でさすり続けてくれた
 
 幼子(おさなご)に読み聞かせをする母の声のように
 穏やかな声だった
 春の日差しのように
 温かな手だった

 穏やかで温かだったが
 私の不安な
 強く支えてくれた
 
 この日私は、穏やかで温かであることが
 人を助ける強さをもっていることを知った



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