2023/03/27
知ってるよ
知ってるよ
知ってるよ
でも、知らないふり
昨夜(ゆうべ)も夜半に目が覚めて
眠れぬ夜の
寝返りの音に
隣に寝ている君が目覚めて
ぬくもった布団から手を伸ばし
背中を向けて寝ている私の
乱れ、めくれた掛布団を
そっと直してくれたのを
私はもちろん知ってるよ
だって眠れぬ夜だったもの
知ってはいたけど
知らないふりして
布団の中で身をかたくして
君に気づかれないように
眠ったふりしてじっとしていた
実はこんな出来事は
昨夜が初めてじゃないのだよ
眠れぬ夜のそのたびごとに
君は布団を直してくれた
私はもちろん知ってたよ
知ってはいたけど
知らないふりして
布団の中でじっとしていた
幸せはけっこうはかなくて
たとえばよそ見でもしていると
いつの間にか消えてしまう
それがこわくて身をかたくして
消えないようにじっとしていた
「ありがとう」なんて言おうものなら
幸せはとたんになくなりそうで
なくならぬようにじっとしていた
こうしてためた幸せな思いは
いつか感謝の花束にかえて
君に贈ろうと思っている
だから私は昨夜も同じく
知らないふりしてお礼も言わず
されるがままになっていた
幸せな思いがなくならないように
知ってるよ
でも、お礼は言わない
知ってるよ
でも、知らないふり
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