2023/01/23
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
ひとりぼっちの日曜日の午前
私はトイレの便座に座り
便秘が続いた日々を振り返りながら
待望の瞬間が訪れつつあるのを
もう少し先延ばしして
楽しんでもいいかなと思ったりしていたとき
ふとある不安が頭をもたげた
もしも今、このときに、宅配業者さんが来たら
どうしよう
ついこの間、ネットの通販で
冷凍餃子を注文したばかりだが
配達日は確か今日ではなかったか
現状では、トイレから出て対応するのは
もう無理だ
事態はもう動き出している
玄関脇のトイレの窓越しに
話をするのは恥ずかしい
きっと宅配業者さんは
便座に神妙な顔で座っている
私の姿を思い浮かべるだろう
「そのとき」の姿を想像されるのは
恥ずかしい
「そのとき」の姿を想像されるのは
嫌だ
であるならば
居留守を使ってだんまりを決め込むか
いいやそれでは再配達の手続きが
いかにも面倒だし
何よりも宅配業者さんに迷惑をかけてしまうのが
気の毒で心苦しい
ああ、今、このときに
宅配業者さんが来たら
どうしよう
どうしよう
どうしよう
恥を忍んで話をするか
息を潜めてやり過ごすか
こうして思い悩んでいるまさにそのときに
便秘が解消されようとする瞬間が
確かな手ごたえ、いや腹ごたえとともにやってきた
何日も待った
待ち望んでいた至福の時間
と、そのときだ
トラックが家の前に止まる音がして
間もなく玄関に設置されたインターホンのチャイムが高らかに鳴り
若いお兄さんの元気な声が聞こえてきた
「こんにちは、宅配です!」
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