2023/01/23
同志よ
同志よ
雨上がりの帰り道
赤いランドセルを背負った少女は
あちこちにできた水たまりを
鼻歌まじりでよけながら
踊るように歩いていた
と、そこに思いがけない不運が
彼女に降りかかった
通りかかった車が
道路にできた水たまりの水をはでに跳ね上げ
少女はその泥水をまともにかぶってしまったのだ
すると少女はとっさに
そばにあった自動販売機の陰に隠れた
罪を犯してしまった善良な市民のように
恥ずべきことをした正直者のように
彼女は人目を憚り
物陰に身を潜めた
車は何事もなかったかのように去っていった
かわいそうな少女
同情や哀れみも彼女を傷つけてしまうから
彼女は必死になって自分を守ったのだ
自意識過剰な同志よ!
私も
道に迷っているのに
その事実が人に知れると恥ずかしいので
必死になって迷っていないふりをするのなんか
しょっちゅうだ
誰も私のことなど見ていないのに
親愛なる同志よ!
もっと人目など気にせずに
堂々と生きていければいいのにね
親愛なる同志よ!
せめてここに私という仲間がいることを知り
心を軽くできればいいのだが
わが同志よ!
スポンサーサイト
コメント