2023/10/01
ジョロウグモ
ジョロウグモ
9月最後の美しい朝
大きなジョロウグモが
新しい巣作りに励んでいた
巣全体をつるす「橋糸」を力強く張り渡し
そこに巣の外枠となる糸と放射状の足場糸を
思いっきり広々と確保した上で
最後の仕上げに粘着力のある横糸を
せっせと張り巡らせている
クモはこの巣にかかった昆虫の体液を吸い
己の命をつなぐのだ
太古の昔から繰り返されてきた
生命保持のいとなみ
誰にも文句は言わせないといわんばかりに
ジョロウクモはせっせと巣作りに励む
やがて完成した大きな蜘蛛の巣は
ジョロウクモにとっては命を育む大切な揺り籠となり
捉えられる虫たちにとっては不気味な罠となって
朝陽に輝くことだろう
ジョロウグモが
人間が勝手に命名した、悲しい響きをもつ
その名前などおかまいなしに
おのれの生を全うしようと
もって生まれたその資質を生かすように
私も、そしてこれを読んでいるあなたも
私やあなたの特性や持病など
それは総じて個性といって間違いではないが
そういう自分の個性を生かして
そう、持病まで生かして
誰に恥じることもなく
誰におもねることもなく
誇りをもって自分という人間を
開花させることができたら
それはたとえば
「生まれて来てよかった」
そういう感慨を伴うものだと思うが
それにまさる喜びはないだろう
【あとがき】
ジョロウグモの写真は9月30
日に撮影しました。自宅の周りに
は蜘蛛の巣がいっぱいで、被写体
不足を悩むことはありません。
いつも変わらぬ応援に、心より
感謝申し上げます。
最後まで読んでくださり、あり
がとうございました。